転矢気考

又落語だ。

鈴本はきれいなので鈴本に行った。

小金馬がとりなので小三治の時みたいに並ばないで済むだろうと12時15分頃小屋に着くように行った。しかし20m位の列が出来ていた。
古い話だがTVのお笑い三人組みの一人だった三遊亭金馬が率いる一門が主となった興行なのだろう。
先代の金馬は昭和34年頃三越名人会で見てすっかり気に入ってラジオでも良く聞いた。
それに比べるとチャラチャラした感じのある現金馬は食わず嫌いで好きではなく、小生も落語を聞かなくなったので金馬一門を全然知らなかったが金馬師匠をはじめ小金馬、金時、金翔大変に良かった。
とりを取った小金馬はジックリと「棒鱈」を聞かせた。上手い。
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改めて書き出しをお詫びする次第。

桂 南喬は精力的で若旦那の鍼に付き合わされた幇間イッパチの噺(たいこ腹)を熱演し大いに沸いた。

扨初めに演じた金翔の転矢気ですが 具合が悪くて医師に掛かった和尚が「転矢気」はありますかと聞かれ「転矢気」がなんだか解らないが知らないとは言えず「ありません」と言ったは良いが解らないままではいられない。

小坊主の珍念に門前の雑貨屋や花屋に聞きに行かせるが誰もわからない。

大と小が有って大きいのは唐草模様だ。其れは風呂敷だとか
味噌汁にして食べてしまったとか・・。

珍念は医師の所に薬を貰いに行き「転失気」はオナラの事と知るが和尚には「杯」のことだと言う。翌日、往診に来た医師に和尚は転失気=「呑酒器(てんしゅき)」=杯と合点して奥様は転矢気で一杯やりますか?とか仕事の後でお二人で転矢気のやりとりはしますか?と聞き、又寺には桐の箱に入り綿に包んだ三段重ねの転矢気が有る等と知った振りをするのが可笑しい。

転失気は昔の医書の傷寒論に出てくる。
「気を転がし失う」からオナラだと言う。
之こそが小生が30年余も読んでいる本だ。
傷寒論には転矢気と書いてテンシキと読ましている。原典は失(うしなう)では無く矢(や)なのである。往時に本を写す時か木版にした際間違ったのである。その漢字一字で考え込む事が往々にしてある。
矢(や)は「つらねる」「ならべる」の意がある。

転矢気はオナラとはいささか違う。

傷寒論では風邪にかかったとき熱のある場所を細かに特定しその場所の熱を取る薬を詳細に書いてある。
胃腸に熱が篭もると体中が熱く布団から出ても風に当たっても寒気は起きない症状になる。
胃腸はからからに乾き腸の内容物もカラカラになり燥屎とよばれる。
この状態になると化学薬品では中々解熱できないのだが、燥屎が腸管にあるかないかを確かめる方法を書いてある場所がある。
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熱で膨脹しカラカラに燥いた屎のこびり付いた腸管に熱を取り腹満を散ずる薬を飲ませると薬の到達した場所の熱が取られ膨脹が収まりグッグーとなり順次その状態が腸管を伝っていく事を転矢気という。転矢気が有れば燥屎がある。

燥屎が証明されたら燥屎を取る薬を与えて、それにより解熱できなかった症状も治ると言うことだ。

腸管に篭もった高熱が少しく取れた時にググッグーと鳴り伝わって行く音を転矢気と小生は解釈している。滅多にある症状ではない。
オナラとも空腹時にグーグー鳴る音とも違う。

失気(屁)の記述もある。
陰陽相得其気乃行大気一転其気乃散実則失気虚則遺尿名曰気分。
冷と気及び血の不足の為腸管の下部に溜まっていた気が体が回復し陰陽の気が増えて腸管の方に循ってくると滞ていた気が一転し散らばる。気が充分に廻ってくると失気(屁)をするし気が充分でないと小便をもらす様になる。これが気分という症状だ。と言うことです。

もう一つ妙齢のお嬢さんが病気になり医師が腹診をしている最中に転失気(オナラ)をしてしまって知らん振りをしていたがそれを知っている弟子の若い医師が後日往診し転失気をするまで腹診をする噺は何と言う題でした?
写真はイソシギと飛ぶヒドリガモ。

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この記事へのコメント

saheizi-inokori
2007年11月28日 08:31
勉強になりました。こういう話を聞いた落語とシンクロさせていくと面白いエッセイになりますね。「漢方で診立てた噺の裏表」なんて^^。
散歩好き
2007年11月28日 08:41
saheiziさん 世間ではどうでもよいことを長年やるのも面白いです。
傷寒論は紀元50年頃出来たと言われ未だに著効を著す医書です。
凄いですね。
knaito57
2007年11月30日 08:43
そういえば──そんな噺があったなあ。オレも近ごろ転失気が出るなあ。など思いながら読んでいて“失”と“矢”の違いに気づきました。字の形から誤用もありそうだし、音からいえば矢が正しいのですね。連なる・並べるの意味があるとは知りませんでした。たしかにおナラとも空腹時のグーグーとも異なる音が腹の奥を移動することがありますね。
じつは金馬ぎらいなんです。もともと先代のあのキャラクターが好きで落語入門した平均的ファンなので、今の金馬はつまらない。どうも私には芸人(落語にかぎらず)が大きな名前を継ぐ風潮が面白くなく、テレビなどでちゃらちゃらやっていたイメージが先立ってしまうんです。そういう先入主や偏見なしに芸を味わうようにならなくちゃ……とは思っていますが。
散歩好き
2007年11月30日 09:29
knaito57さん 昨日は小はん師匠のヤクルトホールの独演会でした。
店があるので出席出来ませんでした。落語を聞き後の一杯も楽しみ
ですが家内安全が第一です。
落語家も地味な人熱演する人容貌が向かないのでは思える人様々で
すが寄席で演じる人は一人を除いて真打なので上手いと思って聞いて
います。先日つまらないと感じたのは馬風でした。
散歩好き
2007年12月14日 18:12
転矢気をYAHOOで検索した所「落語の中の古文問答」にぶつかり
流山大蛇さんが詳しく調べていました。この頁は三遊亭円窓さんの
HPの一部で小生の「転矢気考」を円窓さんにメールした所返事を頂、もう一つ噺は「代脈」とのことです。円窓さん有り難うございました。

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