おひがん

彼岸が近づいてきた。
両親、兄、姉の事を思いながらお経をあげる。

オンアボギャーベールシャノーマカボダラマニハンドマジンバラハラバリタヤウン
は光明真言と言う。浄土真宗の南無阿弥陀仏や日蓮宗の南無妙法蓮華経と同じものである。画像
真言宗徒の大日如来さまへの呼びかけである。

28年前母が亡くなり初めて仏壇が備わった。
寺から「壇信徒のつとめ」をもらい正月や盆、彼岸に一家を挙げて読んでいる。
9年後に父が亡くなり以後は二人分の供養をしている。近年は兄、姉の分もである。
子供二人は家庭を持ったので最近は夫婦と、も一人の子供と三人で唱える。
大声でお経を唱えるのは清清しく気持ちの良いものである。
15年位は「壇信徒のつとめ」を全部読んでいたが現在はその中の般若心経と光明真言を読んでいる。
光明真言は七回繰り返すようになっていて其の通りしている。
オンアボギャーベールシャノはこうして覚えたし意味は分からないが舌によく馴染んでいる。

次の話を添えるのは不謹慎ですが光明真言の関連の噺を紹介すると。
落語の作者は博学で「夜店風景」でこの「オンアボギャーベールシャノ・・・」が出てくる。
噺は香具師の口上をあれこれ紹介するが最後にこの話になる。

低いゆっくりした暗い声で語る。
弘法さんが四国行脚をした折ある街で豆を煮ているところに出会った。

拙僧に少し分けてくれるかと頼んだ所、意地悪な婆さんがこれは馬の餌だと断る。ドンドンドンと響くように扇子の元で高座を叩く。これが不気味な擬音となる。

後ほど帰ってきた爺さんが煮豆を食べると爺さんは馬になってしまった。
ドンドンドン。

驚いた婆さんは反省し弘法さんを追いかけ謝り家に来てもらった。
家には馬になった爺さんが火鉢の前にいた。ドンドンドン。

婆さんが懸命に南無マイダ南無マイダと祈る所で(南無阿弥陀仏でも南無妙法蓮華経でも
ないのが博学の印だ)
弘法さんが呪文を唱え馬の頭に触ると爺さんの頭になった。
次々に背、胸、腕、足と素に戻って最後に股の間に呪文をかけようとしたら
婆さんが南無マイダの合間に「其処はそのまま」。
ドンドンドン。
婆さん南無マイダ、南無マイダと何食わぬ顔で続ける。
弘法さんはオンアボギャーベイルシャノーと唱えながら呆れて去っていく。

弘法さんは真言宗の開祖。聞き手をおチョクッテいても決める所は決めている。

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